2005年 06月 22日
私事にわたりますが(いつもそうですが...)歴史というの、わしじつはそんなに好きではなく、何年に誰がどうしたというような記述がこまごましてあるのを見ると、もうそれだけでうんざり...。 たぶん記憶力がヨワイということだろうと思うんですが、年号だとか、歴史上の人物の名前だとかがどうも覚えられなくて、「何年だろうが、誰だろうが、どうしたかさえわかればええじゃろが!」と思ってしまう横着者...。 ところが、好きな方というのは違いますね...。 ちょっと興味があって、サイトで歴史上の事柄を調べていたら、あるわあるわ....。 そのひとつですごかったのが、ブログ形式になっていて、世界の歴史上でおこった出来事が、雑学知識風に毎日10題づつくらい延々と書いてあるもの。 あらかじめこういう事々をご存じだったのか、あらためて調べて書いておられるのか、よくわかんないんですが、どうにも人類が歴史上経験したことすべてを知らずにはすまさない...みたいな猛烈な知識欲...。 まあ、わしじつは火星人なんで、こういう地球人の情熱はもうひとつよくわからんのですが...。 ...てなことはともかく、調べていたのは「貞永式目」という鎌倉時代の法律のことなんでして...。 たまたま読んでた本に、これが世にも珍しい法律だということが書いてあり、どんなもんかいなと興味がわいたわけです。 どう珍しいかといいますと、「法律のよってたつところの根拠、典拠」みたいなものがない、というんです。 歴史にヨワイだけでなく、法律にもクライんでなんなんですが、どこの法律にも、たいていはそのよりどころがあるらしい。 たぶんそのよってたつところというのは、神様だったり、天だったり、前にどこかにあった法律だったりするのかな? ともかく、「これが正しい」というときに、「これによって正しいのだ」と頼りにする何か、まあ権威みたいなものがある。 ところが、それがない法律があるという...。 で、ほんとかいなと思って調べたら、貞永式目がのっている歴史好きの方のサイトがありました。しかも訳や解説までのせて。そのなかかか引用させていただきます(http://www.tetsureki.com/home/library/shiryoukan/jouei2.html、貞永式目制定の趣旨)。 (訳) 「さて、この式目を作ったことについては、なにを根拠にして書かれたのかと、人はきっと非難することでしょう。確かにこれといった根拠はないのですが、ただ道理から推測されることを書いたのです....」 「確かにこれといった根拠はない...」って、ボケとんのかキミは!という脱力の答えですが、でもこれなにもボケてるわけじゃない。 根拠はなくとも、ちゃんと方法というものがあって、それは「道理から推測される」ということらしい。 「道理」って.....それは結局なにかというと、「誰にも通用すること」ってことなんじゃないでしょうかね! で、この貞永式目というのは、もうひとつ、簡単な言葉で書いてあることでも有名なんです。 「...仮名しか知らない者は、漢字を見ると目が駄目になってしまうようなものです。ですから、この式目は仮名しか知らない者が世間に多いのですから、広く人々に納得させやすいように、武家の人たちへの配慮のためだけに作ったのです」 ...ちょっと独特な訳ですが、ようするにこれ「誰にもわかるように」書いたということなんですね。 まえに、「論理」というようなものに関連して、憲法を話題にしたときに、あらかじめ正しい基準だの考え方だのは必要ない。「誰にもわかって、誰にも通用すること」が大事なんで、それだけが根拠になるってなことを考えたんですが、なんとポンニチの歴史には、すでにその見本があったようなんですな。 この「根拠のない法律」を制定したのは、北条泰時という方です。 承久の乱という朝廷の反乱(反乱とはいわないか...)を押さえて鎌倉幕府の力を強めた方で、この武家社会はじめての法律をつくったほか、善政をおこなって名君として知られている....と歴史好きの方は言っています。 で、その「根拠のなさ」に「根拠を与えた」のが、明恵というお坊さんです。 この方、承久の乱のときに朝廷の方々をかくまって泰時に捉えられたんですが、泰時がその徳の高さに心服して、教えを請うた...その成果が「貞永式目」におおいに生かされている...と歴史好きの方は言っています。 で、この「根拠のない法律」をつくったことをはじめとする北条泰時の振る舞いを、日本の歴史のなかでの「革命」である、と見ている歴史好きの方がいるんです。 .... いや好きでやってたのかどうかよく知らないんですが、日本だけでなく世界の歴史をよく知っていて、それを「何年に誰がどうした」と並べるだけでなく、その出来事の持っている意味を、おそろしく明快に解き明かす方がいる。 山本七平さんという方で、もう亡くなっていて、じつはユダヤ人だったんでは、と思われてもいる方ですが、この方がこの「貞永式目」について書いた「日本的革命の哲学—日本人を動かす原理」という本があって、画期的な名著とアマゾンも言ってますんで、こんど読もうかと思ってます。 憲法をつくろう、あらためようとかっかしてるオヤジ方、いやもちろんお若い方々だって、必読ではないかと、予想しています。 by M
by iraq777
| 2005-06-22 19:18
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